昨日は,「府中市郷土の森博物館」にお散歩.同博物館は,繁茂する緑や広場も多いためでしょうか,小さなお子さんを連れた家族連れの訪問も多く(下名も思わぬ出会いもありました),楽しい散歩でした.
今回の訪問の目的は,同敷地内にある「復元建築物」.尋常高等小学校校舎,郵便取扱所,民家,商家のいずれも,それぞれの建物で過ごした方々の声が聞こえてきそうな建物でした.とはいえ,やはり,下名の今回の主なお目当ては「府中町役場庁舎」.
1922年に竣工された同庁舎は,正面入口から足を踏み入れると,横に長いエル字型のカウンターをもつ大きな執務室が待っています.2008年6月19日付の本備忘録にて記録しました,高山市の「高山市政記念館」もそうでしたが,時代を下った大正11年でもやはり,その執務空間は「大部屋主義」.庁舎内に展示されているパネルの説明を読みますと,「明治20年以前」(1922年以前も同様の庁舎だったのでしょうか)は,同執務空間で働く組織は,税務,戸籍,兵事と収入と表示.当時の町のお仕事は,「総合行政主体」というよりも,やはりその業務が限られていることも改めて分かります.
入口から真っ直ぐ正面に目を上げると,町長室.町民が訪問すると,すぐに町長と目が合いそうなくらいの近い位置取りでした.執務室の脇の廊下を真っ直ぐ進むと,宿直室と土間.庁舎で働く方々の寝食を支えていたのでしょうか.面白いのは,いずれも和風建築でした.そこで,同庁舎から出て,ぐるりと裏から見てみると,洋風の庁舎と和風の庁舎が見事に接合されており,これもまた楽しい風景.2階は,広々した空間に議場が陣取り,その選出方法も反映されているのでしょうか,議会と執行部の空間的な近接性も感じます.
庁舎内に掲示されているパネルからは明治以来の府中市に至るまでの変遷と地方自治制度の説明もあり,講義やテキストでの地方自治論を超えて,歴史的に地方自治を感じることができる空間でした.