佐賀県が昨年秋に開設した中国の事務所に、県内3市町からも職員1人が派遣される。香港事務所では、武雄市職員が既に3月から勤務しており、西松浦郡有田町も6月に派遣。嬉野市は来春、瀋陽へ派遣する。それぞれ約1年間滞在する予定で、県職員とともに地元企業の中国ビジネスを支援していく。
 県が昨年12月に中国戦略の一環として派遣制度をつくり、観光客誘致や販路開拓に力を入れたい市町が応じた。職員は県に出向した後、現地に派遣され、PR活動や人脈づくりなどを行う。人件費のうち海外勤務手当は、県側が負担する。制度には人材育成を目的にしたコースもあり、唐津市が1人を派遣する計画。職員は県庁で1年間研修した後、瀋陽がある遼寧省に1年間派遣され、省政府の研修や大学の授業を受ける。4市町とも中国に職員を長期派遣するのは初めて。有田町は「窯業界の販路開拓を支援するためにも情報収集や人材育成に取り組みたい」、嬉野市は「観光誘致も市町単位では認知度が低くてままならず、オール佐賀で進める必要がある」と狙いを話す。
 県は派遣制度を来年度以降も継続させる方針。県国際戦略グループは「県が中国戦略に熱心でも、市町との連携がなければ具体的な成果は生まれにくい」として、ほかの市町からの参加も期待している。

本記事では,佐賀県における同県に位置する市町職員の海外派遣制度の取組を紹介.同制度に関しては,同県に設置されている「佐賀県・市町行政調整会議」のうち,2011年4月28日に開催された第3回配布を参照*1
同県が2011年8月に策定された「世界とつながる佐賀県行動計画」では,「市町における友好交流協定締結を支援」や「職員のグローバル化のための研修情報を提供」,そして,「海外事務所派遣の門戸を開くことで総合的な人材育成を行」*2うことを取組の一つとして掲げており,「世界とつながる市町職員」の「人材育成支援」*3を目的に同制度を設置.具体的には,2つの「派遣コース」が設けられており,一つは,「高度な中国語力を習得」と「中国の事情に明るくな」ることを目的とした「入門コース」.同コースは「2年」間となり,「1年目」は「県庁での研修」を受け,「2年目」に「遼寧省へ派遣」される.「遼寧省との」間では「職員交流」となる.もう一つは,「中国語(北京語,広東語)または英語での日常会話ができる人」を対象とした「幅広い分野での実践的な業務に取り組」むための「実践コース」であり「瀋陽・香港事務所」に「1年」派遣される.また,同コースでは「更新」*4も可能という.
なるほど,入門コースを設けることで,「分からないまま受け入れる」*5ように,各市町から,同県に手続上は派遣されるものの,実際には直に中国に派遣されるのではなく,まずは,駅前留学ならぬ,研修期間という県庁留学の期間を経て,実際に留学する段取りを採用されている模様.本記事で紹介されている今回派遣される「4市町」の職員の方々の県庁内での「研修」内容も分かると,更に興味深そう.

*1:佐賀県HP(県政の運営施策佐賀県・市町行政調整会議開催内容)「第3回佐賀県・市町行政調整会議

*2:佐賀県HP(県政の運営施策佐賀県国際戦略「世界とつながる佐賀県行動計画」佐賀県国際戦略「世界とつながる佐賀県行動計画」(原文))「佐賀県国際戦略 「世界とつながる佐賀県行動計画」」21頁

*3:前傾注1・佐賀県(第3回佐賀県・市町行政調整会議)15頁

*4:前傾注1・佐賀県(第3回佐賀県・市町行政調整会議)15頁

*5:佐伯胖「「まなびほぐし(アンラーン)のすすめ」」苅宿俊文,高木光太郎,佐伯胖『ワークショップと学び1 まなびを学ぶ』(東京大学出版会,2012年)52頁

ワークショップと学び1 まなびを学ぶ

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