政府は5日、今後の地方分権改革を議論する有識者会議のメンバー9人を発表した。座長には神野直彦東京大名誉教授が就任する。初会合は12日で、国から自治体への権限移譲などが議題となる予定だ。新藤義孝総務相は5日の閣議後記者会見で「(経済財政運営の指針となる)『骨太の方針』に取り込めるようにしたい」と述べ、今夏までに中間報告をまとめる意向を示した。 
 神野氏以外のメンバーは次の通り。成蹊大法科大学院教授 小早川光郎リクルートホールディングス取締役相談役 柏木斉▽早稲田大創造理工学部長 後藤春彦▽愛媛県松前町長 白石勝也▽西南学院大教授 勢一智子▽東京工業大准教授 谷口尚子▽佐賀県知事 古川康富山市長 森雅志

本記事では,政府における地方分権改革の取組を紹介.
2013年4月5日付の総務相による閣議後記者会見において「地方分権改革有識者会議」*1の設置を紹介.本記事では同会議の「構成員」を紹介.「アジェンダから消滅」*2することなく,審議機関は設置.
分権改革が政権のアジェンダとして掲出されたものの,では,同会議の具体的な「アジェンダ」は何だろうと思い同会見を確認させて頂くと,同会議では「今後の地方分権改革の推進に関する施策を議論」を主目的におき,まずは「地方分権改革の総括と今後の展望について議論」し,「改革の成果」を「国民に実感を持って御理解いただく,そのための取組はどのようなものがあるのかということも議論」する,という.兎角限られたアクター内での議論となりがちであった地方分権改革の「伝達的言説」*3の示し方を検討される模様.なるほど.
また,具体的なアジェンダも設定.つまり,「これまで実現していない事務権限の移譲,こういったものを今,残されているものが」あるとして,「これを確実に」「実施していくための方策というものを議論」*4する,とも述べてられている.新規のアジェンダよりも,従来の分権改革からの残余的アジェンダを対処される模様.「政策転換は審議会の委員構成の変化を随伴する」*5との分析からすれば,同会議の構成員の継続性はアジェンダの継続性も示されているということか.第1回会議が開催される2013年4月12日での配布資料及び審議内容は,要確認.

*1:総務省HP(広報・報道大臣会見・発言等)「新藤総務大臣閣議後記者会見の概要(平成25年4月5日)

*2:金井利之「新地方自治のミ・ラ・イ第1回 分権改革と政局」『ガバナンス』No.144,2013年4月号,84頁

ガバナンス 2013年 04月号 [雑誌]

ガバナンス 2013年 04月号 [雑誌]

*3:木寺元『地方分権改革の政治学-制度・アイディア・官僚制』(有斐閣,2012年)37頁

地方分権改革の政治学 --制度・アイディア・官僚制

地方分権改革の政治学 --制度・アイディア・官僚制

*4:前掲注1・総務省(新藤総務大臣閣議後記者会見の概要(平成25年4月5日))

*5:曽我謙悟『行政学』(有斐閣,2013年)57頁

行政学 (有斐閣アルマ)

行政学 (有斐閣アルマ)