さいたま市は30日までに、市に寄せられる市民の提案や苦情などを集約し、市政運営に反映させる「市民の声データベース(DB)システム」の運用を開始した。富士通、日本マイクロソフトと共同し、日本マイクロソフトの「CRMソリューション」という技術を用いて構築したシステムで、自治体初の試み。迅速・的確に市民意識を把握し、市民サービスを向上させるのが狙い。全国の自治体から注目を集めているという。
 市はこれまで、市民による「私の提案制度」やタウンミーティング市民意識調査、コールセンターなどの広聴制度を通して市民の声を収集してきたが、情報が制度ごとに管理されており、市全体として市民の声が定量的にどのような傾向があるのかを把握しにくい状況だった。データベースシステムでは、こうした市民の声を一元的に管理し全庁で共有する。発言者の年代、性別、居住区、提案内容別に分類・集計し、統計結果のグラフ表示なども行う。
 システム構築に当たっては、米サンフランシスコ市などの先進事例を参考にした。同市では、公共物破損などの市民情報や要望と、行政側の対応状況を地図上に分類して表示し、市民の目に見えやすいデータベース化に取り組んでいる。さいたま市も2014年度に、提案者がネットで進行状況を確認できる仕組みを加えるなど、機能を拡張していく予定だという。

本記事では,さいまた市における公聴制度の取組を紹介.同市に寄せられた「市民の声」のデーターベース化を開始された模様.
同市のいわゆる庁議にあたる「都市経営戦略会議」の2012年2月22日に開催された「平成23年度第27回」への提出資料を確認すると,同取組に至った同市の背景が分かる.つまり,従来「広聴制度」では「各所管課窓口に直接入るものがあ」り,これらの所管毎の意見等は「それぞれで対応して」きた,という.これにより「同じ趣旨の市民の声でも」「寄せられ方の違いで処理方法が異な」ることもあった,また「市長への提案制度は」「すべて市長が読み,原則として市長が自ら署名して回答して」きたため「結果的に市民へのフィードバックに時間がかかってい」*1た,という.
なるほど,セクショナリズムは「組織の生理に根ざした現象」*2とはいえ,住民からの意見への分担管理は,処理方法の相違(局処標準化)や処理時間の長期化(全体長期化)を招く,という.つまり,局処処理は迅速ではあるものの処理方法の相違.全体処理は処理方法の標準化が可能ではあるものの処理時間の長期化となる.このような局処と全体で生じる情報管理のディレンマを改善するために,同市では,一元管理が可能となる同データベース化へと移行される模様.これにより本記事によると「定量的にどのような傾向があるのかを把握」が可能になる,という.なるほど,興味深い.
同テータベースの公開の範囲は,同記事及び上記資料からは,現在のところ判然とはしない.要確認.仮に庁内に限らず,広く住民に対しても公開されれば,市側の処理方法の標準化と短期化のみならず,「市民の声」の標準化や,場合によっては「短気」化の解消も生じることになるのだろうか.今後の運用状況は,要経過観察.