焼津市は本年度から、持ち運びができるタブレットパソコンを全職員が使っている。一斉導入は全国初で、各地の自治体や企業からの問い合わせや視察も相次ぐ。紙の使用が削減できるなど効果も表れているが、業務の効率化にはまだ課題も残る。
 各職員の机には、一一・六インチのタブレットパソコン本体とキーボード、二一・五インチの大型ディスプレーがある。机上ではディスプレーとキーボードでデスクトップパソコンと同様に作業が可能。会議などの際はタブレットを持ち歩き資料を閲覧し、手書きペンでメモ帳代わりにもできる。「メモもファイルに保存できて便利。使いこなしてますよ」と池田義之財政部長。幹部職員会議では毎回計二千枚使っていた紙が不要になり、各部署の印刷機の使用量も減った。
 市が導入を本格検討したのは昨夏から。五年ごとのリース契約満了と基本ソフト「ウィンドウズXP」のサポート終了のため、二〇一四年度の端末更新は決まっていた。一二年秋に予算要求していたのは従来型のノートパソコンだったが昨年六月、「ウィンドウズ8」対応のタブレットパソコンの登場を知り「安くて性能も良さそう」と候補に入った。
 情報政策課の中島勝己主幹は「今までと同じように仕事ができるか不安がる声や、持ち運びできなくてもいいのではという声も上がった」と振り返る。各部署に何度も説明して回り、75%の職員の賛同を得た。五年間のリース契約料は六百七十二台分で七千百十万円。前回更新時より三千万円安く抑えられた。
 端末の持ち帰りが認められているのは原則、課長級以上のみ。導入後、大きな不都合はないが「そこまでメリットは感じない」という職員も少なくない。登庁してタブレット本体の電源を入れた後は脇に置き、自席での仕事は大型ディスプレーを使う職員がほとんどだ。格安キーボードの使い心地はいまひとつで「タブレットは場所も取るし、邪魔かも」と漏らす職員もいる。
 本庁舎にいる通訳がテレビ会議機能を使い出先機関の外国人来庁者に対応するなど、市民サービスへの活用も試みられている。課題は無線LAN環境の整備。今は自席の有線でしかインターネットに接続できず、持ち運びのメリットは限られている。現在三つに分かれている庁舎は五年後の移転を目指し統合計画が進む。新庁舎で次世代型の端末をどう生かしていくか、変革はまだこれからだ。(神谷円香)

本記事では,焼津市におけるタブレット端末の導入状況を紹介.
同市では「全職員にタブレットパソコン」*1を2014年より導入を開始.「導入」に際しては「経費の削減に努め」,「前回の更新経費の70%で調達」*2している.本記事では,「672台分」を「5年間のリース契約」で「710万円」と導入に伴う具体的な費用が報道.
潜在的」には「政府業績を拡大する」とされる「E-government」*3 の取組.職場レベルでの利用状況は,本記事によると,導入後は「各部署の印刷機の使用量」が「減」少は観察されている.また「各職員の机」は「11.6インチのタブレットパソコン本体とキーボード」,「21.5インチの大型ディスプレー」の双方があるため,「登庁してタブレット本体の電源を入れた後は脇に置き,自席での仕事は大型ディスプレーを使う職員がほとんど」と,使い分けの現状にある,ともいう.さらなる利用状況による成果は,要観察.

*1:焼津市HP(市長の部屋記者会見)「平成26年4月焼津市定例記者会見資料」(4月2日(水) 午前11時〜,市役所本館6階603号室)3頁

*2:前掲注1・焼津市平成26年4月焼津市定例記者会見資料)3頁

*3:Kettl,Donald F. (2014).The Politics of the Administrative Process Sixth Edition,CQ Press:p.156.p.127

Politics of the Administrative Process

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