他の自治体からの行政視察が多い兵庫県小野市に18日、記録の残る2004年度以降、唯一訪問がなかった、佐賀県自治体から視察団が訪れ、全47都道府県からの視察受け入れが達成された。同市はさらに受け入れを推進しようと、全国の自治体に配布するためのパンフレットを9月に発行するという。
 視察は市の情報発信にもつながるとして、同市は受け入れに積極的。統計を取り始めた04年度から18日までの受け入れ件数は877件に上った。目的別では、東北大・川島隆太教授の脳科学理論に基づく「おの検定」「16カ年教育」など、教育分野が最も多く約4割を占めるほか、行政経営に関する視察も多い。近年は「いじめ等防止条例」「空き家等の適正管理に関する条例」なども注目された。
 県別には兵庫県内からの296件が最も多く、高知県の57件、滋賀県の28件と続く。12年度に群馬県から初の視察があり、訪問がないのは佐賀県だけとなっていた。この日訪れたのは佐賀県神埼市会の議員らで、テーマは議会活性化だった。同市会運営委員会の白石昌利委員長は「事前に他市町にも打診をしたが、小野市議会事務局からの返答には特に積極性を感じた」という。
 現在、視察の多いテーマなどを紹介するパンフレットを作成中で、完成し次第、全国約1700の自治体に送る予定。今月開業したホテルなどの情報も掲載し、宿泊面での利便性をPRする。(吉田敦史)

本記事では,小野市における視察の受け入れ状況を紹介.
同市への行政視察は,「統計をとり始めた」2004年度から2013年度末までの「10年間で,視察件数は850件」であり,2014年4月16日現在では,「受け入れた視察」は「佐賀県を除く全国46都道府県」*1と紹介されている.「視察の主なテーマ」では「小野市の行政経営」「小野市独自の教育」,「全国初」の「いじめ等防止条例」や「空き家等の適正管理に関する条例」「福祉給付制度適正化条例」*2であるという.本記事によると,2014年度に入り27件の視察を受け入れ,加えて,「佐賀県自治体から視察団が訪れ」たことにより「全47都道府県からの視察受け入れが達成」されたことを報道する.
一方で,同市によると「これまでは,遠方から来られた場合」であっても「神戸や姫路などでしか宿泊場所を確保できず」「十分な説明時間がとれ」ない状態であったものの,2014年の「夏」に同「市が誘致した地上10階建て207室のホテルが完成」*3予定でもあるという.
視察に訪れた側が,「表面的に視察し真似」*4することになったのか,はたまた,各自治体が独自に政策を展開することになったのか,視察の訪れた側の視察後の結果を把握できるとさらに興味深そう.

*1:小野市HP(小野市行政サイトこんにちは市長です雑感バックナンバー)「2014年4月〜6月分のバックナンバー

*2:前掲注1・小野市(2014年4月〜6月分のバックナンバー)

*3:前掲注1・小野市(2014年4月〜6月分のバックナンバー)

*4:伊藤修一郎『政策リサーチ入門』(東京大学出版会,2011年)107頁

政策リサーチ入門―仮説検証による問題解決の技法

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