横浜市の林文子市長と川崎市の福田紀彦市長は27日、待機児童対策に関する連携協定を締結した。自治体間で待機児童対策の協定を結ぶのは全国初。市境を越えて両市民が利用できる保育所を共同で整備するほか、市が独自認定している横浜保育室と川崎認定保育園を両市民が市外から利用する際の保育料補助などを検討していく。ともに来年4月の待機児童ゼロを目指している。
 両市によると、協定を踏まえ市境に保育所を共同整備することで行政区域の壁を取り払い、需要と供給のミスマッチを解消する。特に注目しているのは横浜市鶴見区港北区川崎市幸区が隣接する地域と、横浜市青葉区都筑区川崎市宮前区が隣接する地域。鶴見区港北区や宮前区では保育需要が高まる一方、保育所を造る土地が不足しており、近隣の川崎市幸区で2016年4月開所を目標に認可保育所を共同で整備していくという。需要を基に定員を両市に振り分け、整備費も定員割合に応じてそれぞれ負担する。
 これまで保育所の利用に際しては施設所在地の市民が優先されてきたが、共同の保育所では振り分けた定員分は、それぞれの市民を優先する。入所選考や保育料の決定は居住する市の制度に基づく。さらに横浜市民が川崎認定保育園を、川崎市民が横浜保育室を利用する際の保育料補助や施設への運営費助成などを来年4月からの開始に向けて検討する。
 現在、横浜保育室で最大5万円、川崎認定保育園で最大2万円の保育料補助があるが、市外利用者には支給されていない。4月1日時点で横浜保育室に入所している川崎市民は6人、川崎認定保育園に入所している横浜市民は30人いる。また保育士確保対策として、保育士養成施設校の学生向け就職セミナーを共同開催する。
 27日に会見した福田市長が「保育園に入れないから横浜に引っ越すと市民に言われ、行政区域の見えない壁を感じた。市民の生活圏は行政区域にとどまらない。両市で協力できないかと思い、横浜市に働きかけた」と説明。林市長は「保育所への入所希望者は増加しており、引き続き市民の期待に応えていくには新たな試みが必要」と話した。

本記事では,横浜市川崎市における待機児童対策の取組を紹介.同取組は,横浜市HPを参照*1
2014年「4月1日時点」では,「横浜市認可保育所に入所している川崎市民」は「234人」,方や「川崎市認可保育所に入所している横浜市民」は「61人」,また,「横浜保育室に入所している川崎市民」は「6人」,「川崎認定保育園に入所している横浜市民」は「30人」*2の現状にある両市.
「女性の社会進出や経済情勢の変化による共働き世帯の増加」と「就労形態の多様化やひとり親世帯の増加による保育ニーズの増大と多様化等」への「対応」するという問題意識から,「相互に連携及び協力すること」で「待機児童対策の更なる促進に資することを目的」に,具体的には「市境周辺の保育受入れ枠の確保のため」に「どちらか一方の土地を両市が共同で活用する方策を検討する必要」から,両市間で「待機児童対策に関する連携協定」*3を,2014年10月27日に締結.
同協定に基づき,「市境にある市有地や国有地,民有地等を活用」での「保育所等の共同整備」とともに,「横浜保育室・川崎認定保育園の利用」する際の「施設に対する運営費助成や保護者の保育料負担を軽減」,「保育士確保対策」としての「就職セミナーを両市で共同開催」*4する.
本記事によると,共同整備された保育所等は「需要を基に定員を両市に振り分け,整備費も定員割合に応じてそれぞれ負担」し,「入所選考や保育料の決定は居住する市の制度に基づく」と紹介されており,同一保育所内で,両市が独自に運営することにより,「保育を受ける条件が異な」*5る方針にある模様.整備後の利用状況は,要確認.

*1:横浜市HP(記者発表資料2014年10月横浜市と川崎市が「待機児童対策に関する連携協定」を締結!〜ともに子育てしやすいまちを目指して〜)「横浜市と川崎市が「待機児童対策に関する連携協定」を締結!〜 ともに子育てしやすいまちを目指して 〜」(横浜市こども青少年局保育対策課 川崎市市民・こども局こども本部待機児童ゼロ対策室,平成26年10月27日)

*2:前掲注1・横浜市横浜市川崎市が「待機児童対策に関する連携協定」を締結!〜 ともに子育てしやすいまちを目指して 〜)2頁

*3:前掲注1・横浜市横浜市川崎市が「待機児童対策に関する連携協定」を締結!〜 ともに子育てしやすいまちを目指して 〜)1頁

*4:前掲注1・横浜市横浜市川崎市が「待機児童対策に関する連携協定」を締結!〜 ともに子育てしやすいまちを目指して 〜)2頁

*5:近藤幹生『保育とは何か』(岩波書店,2014年)121頁

保育とは何か (岩波新書)

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