東淀川区の13公園で今秋から試行、子どもの体力向上へ
 公園でのボール遊びを原則禁止している大阪市が、解禁に向けて動き始めた。住宅地の公園では、安全や騒音に関する周辺住民らの苦情が絶えず、禁じている自治体は全国的に多い。市は東淀川区の13公園で今秋から試験的にボール遊びを認めており、見守って1年後に結論を出す予定だ。
 「こどものあそび場確保のとりくみをしています」。東淀川区下新庄北公園に9月上旬、看板が立った。硬いボールの使用などを制限しながら小学生以下のボール遊びに理解を求める内容で、近くの自営業女性(63)は「外でゲームをしている子を見るとかわいそう」と理解を示すが、近くの72歳男性は「ボールが飛んできたら危ない」と反対し、賛否が分かれる。検討の背景には、遊び場の減少に加え、大阪市の小・中学生の体力・運動能力が全国平均を下回っていることがある。文部科学省の調査では「ほとんど毎日運動する」子の割合も低い。
 市が管理する公園は981カ所あり、フェンスで囲んだグラウンドなどを除いてボール遊びは原則禁じられている。「他人に危害を及ぼす恐れのある行為」を禁じた市条例に基づく。実際、ボールで窓ガラスが割れたなどの苦情も、頻繁に市に寄せられている。禁止された時期は不明確だが、1971年の市議会議事録には、近くのグラウンドに工場が建設されてボール遊びの場がなくなったとして、「ボール遊びのできる公園」をつくってほしいと訴える子どもの手紙が紹介されている。今年8月の子ども市会では、小学生が「子どもが暮らしやすい大阪市になってほしい」と橋下徹市長に要望した。試行対象には、住宅密集地の東淀川区を選んだ。放課後の校庭も一部開放し、周辺住民とのトラブルの有無などを見守る。市建設局の担当者は「最近は『ボール遊びぐらい良いんじゃないか』という意見も多い。賛否を聞きたい」と話す。
 日本公園緑地協会の2004年の調査では、全国の政令指定都市と東京23区の公営公園のうち、52%がキャッチボールを全面禁止にしていた。ただ、見直す動きが近年出ている。東京都千代田区は昨年4月、「子どもの遊び場に関する基本条例」を施行した。公園について「可能な限り自由に遊べるよう配慮する」などと定め、時間を区切ってボール遊びを認めたり、区有地に遊び場を確保したりしている。【重石岳史】

本記事では,大阪市における公園管理の取組を紹介.
同市の公園条例第3条第1項第10号では「他人に危害を及ぼすおそれのある行為をすること」*1を禁止.本記事によると,同市が管理する「981カ所」の公園では,同条に基づき「ボール遊びは原則禁じられている」なかで,同市の東淀川区に設置されている67の公園*2のうち「13公園」では,「今秋から試験的にボール遊びを認め」ている.ボールを利用される方々と利用をされずに公園を利用する方々と間での,公園の「共同管理」*3の状況は,要観察.

*1:大阪市HP(市政大阪市の条例・公報条例・規則)「大阪市公園条例」(昭和52年4月1日 条例第29号)

*2:大阪市HP(組織一覧東淀川区文化とスポーツ公園・児童遊園)「区内の公園や児童遊園

*3:高村学人『コモンズからの都市再生』(ミネルヴァ書房,2012年)14頁

コモンズからの都市再生―地域共同管理と法の新たな役割

コモンズからの都市再生―地域共同管理と法の新たな役割