豊島区の高野之夫区長と埼玉県秩父市の久喜邦康市長は十一日、豊島区役所で会談し、豊島区の高齢者に秩父市への移住を促し、健康なうちから継続的なケアを受けて老後を過ごしてもらう施策の実現に向けて意見を交換した。
 高齢者の地方移住を促す提言を六月に発表した民間団体「日本創成会議」の増田寛也座長も同席。増田氏は政府の「まち・ひと・しごと創生会議」の一員でもあり、介護施設の立地などに余裕のある地方に「CCRC」と呼ばれる高齢者コミュニティーを作る取り組みを支援している。会談で、増田氏は「高齢者が職能などの経験を生かし、移住先の支え手として役割を果たせる環境が大切だ。姉妹都市として三十年の交流の歴史があり、電車一本でつながる両区市のような事例は日本にはまだなく、連携の利点は大きい」と述べた。
 高野区長は「区内に高齢者施設を新設する土地がない。単身の高齢者世帯が(約三割と)多く、秩父で良いコミュニティーができれば生きがいにもつながる」と話した。久喜市長は「秩父周辺では人口減少が進んでいる。補完しあいながら課題を解決したい」と応じた。今後、豊島区は区内の高齢者に「秩父市へ移住したいか」などの意識調査を実施する。秩父市はCCRCの運営事業者の選定方法や空き家の活用について調査を始める。 (皆川剛)

本記事では,豊島区と秩父市における高齢者移住の取組を紹介.
2015年7月16日付の本備忘録にて記録した両市区間での同取組の方針.本記事では,両市区長による「会談」が開催され,同区では,同区内の「高齢者」に対して,移住に関する「意識調査」の「実施」,同市では,「運営事業者の選定方法」「空き家の活用」に関する「調査を始める」方針で合意された模様.「二地域間の人口,地域間の距離,二地域の差」はどれほどの「人口移動者数」*1に影響をもたらすかも分析されると,さらに興味深い.今後の検討状況は,要観察.

*1:佐藤泰裕『都市・地域経済学への招待状』(有斐閣,2014年)53頁

都市・地域経済学への招待状 (有斐閣ストゥディア)

都市・地域経済学への招待状 (有斐閣ストゥディア)