東京・上野動物園に次いで日本で2番目に古い1903年開園の京都市動物園(同市左京区)の来園者が近年、驚異的なV字回復をとげている。外国人観光客が増えたのに加え、「日本有数の敷地の狭さ」を逆手に取り、動物との近さを強調した取り組みが功を奏している。
 全国初のライオン人工哺育(1910年)や動物とふれあえる施設開設(55年)などでにぎわってきた同園だが、少子化やレジャーの多様化で、年間来園者数は2002年度に約60万人まで落ち込んだ。しかし13年度に約80万人、14年度に約82万人と急激に回復。今年度は上半期(4〜9月)だけで52万人が訪れ、26年ぶりに90万人を超える勢いだ。
 敷地面積は約4ヘクタールしかなく、大阪市天王寺動物園(約11ヘクタール)、神戸市立王子動物園(約8ヘクタール)などと比べても異例の狭さ。逆にこれを利用して近年、動物への近さを売りに改修や新たな試みに取り組んできた。
 昨年4月完成のゴリラ舎では、鉄柱を乱立させてゴリラ本来の垂直移動を促し、「横に広げられないなら縦で」と工夫した。また、オスのニシゴリラ、ゲンタロウ(3歳)は現在、数字を区別する訓練中で、既に1から12まで順番通りパネルをタッチできるようになった。訓練の様子をガラス越しに間近で見られる。
 今年7月全面改装したゾウ舎では、プールを柵からわずか4メートル先に設置。ラオスから寄贈された子ゾウ4頭(4〜7歳)が水中で戯れる姿を目の前で楽しめる。ゾウが水に頻繁に入るのは10歳ぐらいまでで、同園によると同時に4頭の水浴びが見られるのは全国でここだけという。
 平安神宮など周辺の観光スポットから人を呼び込むため、入り口そばに2階建てでカフェ併設の図書館を7月に新設。動物関連の本約6500冊が並び、ガラスの床の下にはワニの剥製が横たわる。広報担当の岡橋要さんは「限られた敷地でいかに見せるかと知恵を絞った。近くて楽しい動物園を実感してほしい」と話している。【土本匡孝】

本記事では,京都市における動物園への来園者数を紹介.
「動物園建設費の40%」を「市民」の「寄付」により集め,「文字どおり市民の動物園」*1として開設された同園.本記事によると,2015年度の来園者は「90万人を超える」ことが見込まれており,その要因は,「敷地面積は約4ヘクタールしかな」いことから,「動物への近さを売り」にしている模様.市民の身近であり,動物にも身近な同園.ぜひ訪問してみたい.

*1:石田〓『日本の動物園』(東京大学出版会,2010年)48頁

日本の動物園 (Natural history)

日本の動物園 (Natural history)