厚生労働省は23日までに、がんの死亡率減少を目指した「がん対策加速化プラン」を公表した。がん検診の受診率向上や、がん医療情報の提供体制の充実、働くがん患者の就労支援などが柱。
 国内のがん検診の受診率は40%程度と欧米に比べて低く、国は受診率の50%への引き上げを掲げている。プランでは、早期発見や治療に結び付けるため、市町村ごとの検診受診率を比較可能な形で公表、職場での検診の実態調査を行って企業向けガイドラインも策定するとした。
 患者へのがん医療情報の提供体制が不十分だとして、がん拠点病院の診療実績や専門医の配置を簡単に調べられるようなシステムを今後作成。働くがん患者が就労を継続できるように、専門の相談員が医療機関や企業との調整などを行うことも盛り込まれた。
 がんの死亡率が十分に下がらないとして、安倍晋三首相が6月にプラン作成を指示していた。

本記事では,厚生労働省における「がん対策加速化プラン」の公表内容を紹介.
「がん対策の進捗」がある一方で,「たばこ対策やがん検診の受診率向上に向けた施策が遅れ」から,がんによる死亡率減という「目標の達成が難しいと予測」*1されたなか策定された同プラン.同プランでは,「予防や早期発見を進め」「避けられるがんを防ぐ」「がんの予防」,「治療や研究を推進し」「がんによる死亡者数の減少」に「つなげていく」「がんの治療・研究 」,「就労支援や緩和ケアなどを含む包括的な支援により」「がんと共に生きる」ことを「可能にする社会を構築する」「がんとの共生」の「3つの柱」*2から構成されている.「事実の提示」*3による検診を実施する主体の行動変容の結果は,要観察.
本記事では,3つの柱のうち予防に関する取組を紹介.「受診率 50%」と置かれている「がん検診」*4.現状は,「胃がん」は「39.6%」,「肺がん」は「42.3%」,「大腸がん」が「37.9%」,「子宮頸がん」が「42.1%」,「乳がん」は「43.4%」となり,「目標の 50%には達していない」*5.「受診率が向上しない要因の一つ」には「受診勧奨や精度管理の方法,検診項目等」が「市町村によって差がみられること」*6がある,という.そこで,本記事でも紹介されているように,「各市町村のがん検診受診率,がんの死亡率や受 診率向上に向けた取組等を比較可能な形で公表」するなどの「検診対象者,市町村それぞれの特性に応じ」た「行動変容を起こすためのインセンティ ブ策及びディスインセンティブ策を導入」し「実効性のある仕組みを講じ」*7る方針が示されている.

*1:厚生労働省HP(報道・広報報道発表資料2015年12月 :「がん対策加速化プラン」について(平成27年12月22日))「がん対策加速化プラン」(平成27年12月)1頁

*2:前掲注1・厚生労働省(がん対策加速化プラン)1頁

*3:秋吉貴雄, 伊藤修一郎, 北山俊哉『公共政策学の基礎 新版』(有斐閣,2015年)99頁

公共政策学の基礎 新版 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 新版 (有斐閣ブックス)

*4:前掲注1・厚生労働省(がん対策加速化プラン)2頁

*5:前掲注1・厚生労働省(がん対策加速化プラン)2頁

*6:前掲注1・厚生労働省(がん対策加速化プラン)3頁

*7:前掲注1・厚生労働省(がん対策加速化プラン)3頁,4頁