熊本市は17日、熊本地震で被災した家屋の被害程度を認定する罹災(りさい)証明書の発行を本格化させた。窓口となる各区役所など7カ所には、午前9時の開場前から多くの市民が詰めかけた。行政の支援策が少ない「一部損壊」と認定された市民が戸惑う姿も見られた。
 罹災証明書は、住居の補修や仮設住宅への入居、生活再建支援金の給付などに必要。政府は、被災者の生活再建を加速させるため、5月中に各自治体による発行を終える方針を示している。
 罹災証明書は、家屋被害を「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」の4区分で認定する。熊本市には15日現在で、5万9789件の発行申請があった。これまで、一部損壊に限って申請者が持参した写真から判断し、申請者も納得した場合は即時発行してきた。ただ、申請者が「半壊」以上を主張するなどし、現地調査が必要とした3万9928件の中では、222件しか発行されていなかった。市が現地調査を終了し、発行可能となった約7400件のうち1500件分を通知。この日、市役所14階では20の発行窓口を設け、通知を受けた申請者が次々と訪れた。市は併せて、生活再建支援の申請や相談が1カ所でできる「総合相談窓口」も開設した。
 市によると、仮設住宅や、家賃が無料になる借り上げ民間賃貸住宅(みなし仮設)に入居できるのは大規模半壊以上。自宅に戻るため、最小限の補修を市が業者に依頼する応急修理の対象は半壊以上などに限られ、一部損壊への支援はほとんどない。一部損壊と認定され、納得せずに2次調査を申請する市民の姿も見られた。大規模半壊の証明書を受け取った同市西区の女性(35)は「92歳から1歳5カ月の9人家族で、私は妊娠9カ月。出産後に帰れる家が欲しいので、みなし仮設に入りたい」と話した。同市は「4月申請分は20日までに発行準備を整え、5月申請分も月内発行を目指す」としている。家屋被害が大きかった同県南阿蘇村は19日、同県益城町は20日から、それぞれ罹災証明書の発行を始める。
 一方、益城町では17日、熊本空港近くの工業団地内の民有地約8万平方メートルに約510戸の仮設住宅が着工した。7月上旬に完成予定。

本記事では,熊本市における「生活再建支援に関する総合相談窓口」*1の開設を紹介.
同市では,「各区」における「り災証明書」の「発行にあわせ」て,「生活再建支援に関する総合相談窓口」を「各区役所」に「設置」*2.福祉課では「り災証明書」を発行するとともに,5区役所すべてではまず「福祉課」による「り災証明書発行」を,総合相談窓口では「被災者生活再建支援制度の申請受付」「災害見舞金等の申請受付」「災害援護資金等の申請受付」*3が行われている.
そして,「市役所14階」に設置された総合相談窓口では,各区での相談対応に加えて,「震災廃棄物対策課」による「家屋解体相談」,「県弁護士会・生活再建支援課」による「法律相談」,「営繕課・設備課」による「被災住宅の応急修理相談・受付」,「建築政策課」による「民間賃貸住宅の借上げ相談・受付」,「県社会保険労務士会・経済政策課」による「労働相談」,「熊本県よろず支援拠点・経済政策課」による「経営相談」,「金融機関・経済政策課」による「金融相談」も「ワンストップ」*4で受けることが可能となる.
各課及び組織が「同一フロアーに同居する」*5同窓口.総合的な相談に対する相互での連携による対応状況は,要確認.

*1:熊本市HP(分類から探す行政情報統計・人口・広報報道資料平成28年5月【報道資料】平成28年熊本地震 生活再建支援に関する総合相談窓口の開設について)「平成28年熊本地震 生活再建支援に関する総合相談窓口の開設について」(政策局 復興部,平成28年5月13日 )

*2:前掲注1・熊本市平成28年熊本地震 生活再建支援に関する総合相談窓口の開設について )

*3:前掲注1・熊本市平成28年熊本地震 生活再建支援に関する総合相談窓口の開設について )

*4:前掲注1・熊本市平成28年熊本地震 生活再建支援に関する総合相談窓口の開設について )

*5:石川正興編著『子どもを犯罪から守るための多機関連携の現状と課題』(成文堂,2013年),203頁