青森県庁で建物の階数を減らす「減築」工事が進んでいる。老朽化した6階(一部8階)の2棟について、最上階を撤去し、5階にすることで軽量化による耐震強化を狙う。国、都道府県の庁舎では前例のない工法で、各地から視察が相次いでいる。
 青森市中心部にある県庁舎は現在、東、西、南、北の4棟に分散。うち鉄骨鉄筋コンクリートの東、南棟は1960年完成で最も古い。2011年度の耐震診断で「震度6強〜7程度の大地震では倒壊の恐れがある」と指摘された。
 県は当初、通常の耐震補強を検討した。ただ、フロアの中心に補強のための部材を設ける必要があり、業務に支障が出ることが判明。全国でも珍しい減築に踏み切った。耐震補強を含めた総事業費は約87億円。
 工事は今年4月に始まり、6階の床部分を新たな屋上にする工程に着手。5月下旬から6階の外壁と柱、はりを解体し、クレーンで地上に降ろす作業が続く。減築で減る約3000平方メートルのスペースは、部署を他の棟に配置換えすることで対応する。
 県行政経営管理課は「減築せずに補強する場合と比べ費用は安いはず。今後40年は建て替えなくて済む」と説明する。各地で公共施設の長寿命化の取り組みが進む中、これまで横浜市議会などが視察に訪れた。
 減築工事は10月に終了。その後も内装や外壁工事があり、スリム化した庁舎に生まれ変わるのは18年末の予定だ。

本記事では,青森県における庁舎改修の取組を紹介.
同県では,1960年の「竣工」した同県庁舎を「県庁舎として災害応急対策に必要な耐震性能を確保」し「改修後40年程度の使用を目標」に「長寿命化改修」*1を実施.本記事で紹介されている通り,「南棟及び東棟」の「6階以上を減築」することにより「建物重量の低減を図」り「必要耐震補強量の減」*2らすことを目指している.減築後の庁舎内の「実務性」*3の状況は,要観察.

*1:青森県HP(組織でさがす総務部 行政経営管理課青森県庁舎耐震・長寿命化改修事業について)「青森県庁舎耐震・長寿命化改修事業の概要」(平成27年5月 青森県総務部行政経営管理課)2頁

*2:前掲注1・青森県青森県庁舎耐震・長寿命化改修事業の概要)3頁

*3:御厨貴『権力の館を考える』(放送大学教育振興会,2016年)124頁