国土交通省は14日、土地の価格が安い地方都市の中心商業地や郊外の住宅地にある空き地の活用を推進するため、市町村が所有者と利用希望者の間を仲介する仕組みを整備していく方針を固めた。土地の所有権は動かさず、所有者の同意を得た上で利用権を積極的に使う方法を想定。2018年度の実現を視野に検討を進める。
 地価が安く、土地取引の仲介手数料だけでは元が取れない地域では、民間の不動産業者らによる仲介機能が働きにくい。このため、市町村などが間に入り、積極的に役割を補完できるようにする。税制上の支援措置なども併せて講じていく方針だ。
 対象として念頭に置くのは、所有者が「先祖代々の土地だから」などの理由で保有してはいるものの、特に活用されず空き地化している土地。所有者は金銭的に苦しいわけではなく、慌てて手放すつもりもない。一方で、利用希望者にとって土地をいきなり購入するのはリスクが高い。
 このため同省は所有権はそのままにした上で、市町村が仲介し、賃貸借契約などの形で利用権を活用していく方法が双方に使いやすいとみている。同省は活用事例として、広場や公園、地域の交流施設、小規模な雑貨店などの整備をイメージしている。

本記事では,国土交通省における空き地の活用の方針を紹介.
同省に2017年1月に設置された「空き地等の新たな活用に関する検討会」では,同年6月に「検討内容」を「とりまとめ」*1を公表.同とりまとめでは「空き地等の問題は」「地域によって状況は多様」であり「一斉に対策を講じることは困難」との認識のもと,「まずは,対策に取り組むニーズがあり,これが可能な地域から現行の制度も活用しながら.施策を動かしていくことが必要」との「考え方」*2を示している.
この考え方のうえで「管理が困難な所有者への支援と管理水準が低下した空き地等への対応」として,「土地の利用見込みがないものの,高齢化や遠方居住等」から「空き地等を管理することが困難な土地所有者を助ける」ことを目的に,「市町村に相談窓口を設け,必要に応じ」「地元の管理会社等へあっせんを行う方策」*3が提案されている.「一義的な目的のためだけに維持管理」*4以外の利用状況は,同仕組みの整備後,要観察.

*1:国土交通省HP(報道・広報報道発表資料平成29年6月空き地等の新たな活用に関する検討会のとりまとめについて 平成29年6月29日)「空き地等の新たな活用に関する検討会 とりまとめ」(平成29年6月.空き地等の新たな活用に関する検討会)

*2:前掲注1・国土交通省(空き地等の新たな活用に関する検討会 とりまとめ)18頁

*3:前掲注1・国土交通省(空き地等の新たな活用に関する検討会 とりまとめ)19頁

*4:保井美樹「新しい「コモンズ」を支える組織のデザイン」岡崎昌之編,全労済協会監修『地域は消えない』(日本評論社,2014年)94頁

地域は消えない―コミュニティ再生の現場から

地域は消えない―コミュニティ再生の現場から