兵庫県は13日、2008年度から11年間に及ぶ行財政構造改革(行革)の検証結果をまとめ、阪神南県民センター(尼崎市)と阪神北県民局(宝塚市)を統合する方針を明らかにした。検証では、最終18年度までの行革効果は計8317億円に上るとしたが、依然として阪神・淡路大震災関連など7270億円の県債(借金)が残る。県は効率的な行政運営を進めるため、組織の見直しや人件費の削減など19年度以降の新たな対策を検討する。(井関 徹)
 県は震災の復旧・復興に1兆3千億円の県債を発行し、多大な財政負担を強いられた。その後、危機に陥った財政を立て直すため、全国初の行革推進条例を制定。新行革プラン(08〜18年度)を策定し、計画的に職員の定数や給与などを削減してきた。
 検証では、プラン開始前の07年度の状況を基に、行革期間中の各年度に削減した額を積み上げ、効果額を計8317億円と算出。07年度決算で1280億円あった収支不足の解消など、財政運営の目標を達成したとした。
 一方で、震災関連の県債残高3615億円のほか、収支不足を穴埋めしてきた県債の残高も3655億円に上ると指摘。借金返済に加え、少子高齢化や人口減少などに伴う厳しい財政事情も見据え、新たな対策の必要性を明記した。
 具体的な取り組み方針では、阪神地域の一体的な行政運営を目指し、阪神南県民センターと阪神北県民局の統合を盛り込んだ。「阪神県民局」として統合を目指すが、統合時期や庁舎をどこに設置するかなどは未定で今後協議する。
 知事ら特別職の給与カットは継続。職員給与の抑制措置は解消するが、管理職手当は減額率を縮小した上で継続する。職員の定員は現状を維持するとした。
 19年度以降の財政運営について井戸敏三知事は「今後も一定の枠組みが必要で、検証を踏まえて検討する」とし、「震災関連県債を10年で返済する必要があるので、10年間ぐらいの計画になるのではないか」との見方を示している。

■県会行革特別委検証結果を調査
 兵庫県議会は13日、行財政構造改革調査特別委員会を開き、県がまとめた行財政構造改革(行革)の検証について、県幹部から説明を受けた。24日の次回委員会から実質的な議論に入る。行革の検証結果について調査するため、6月に設置され、9月中旬にも報告書をまとめるという。(井関 徹)

本記事では、兵庫県における行財政改革の検証結果を紹介。
2008年9月19日付の両備忘録で記録した、同県の行財政改革の推進に関する条例の制定の取組。同条例に基づき、2018年度を「目標年度」に「行財政全般にわたる新たな構造改革」を実施し、この「11年間」は「条例に基づいた毎年度のフォローアップを適切に行いつつ改革に取り組み、収支不足を着実に縮減」*1した同県。これにより、2018年度当初予算では「収支均衡をはじめ実質公債費比率など財政運営の目標を達成する見込み」*2が示されている。多岐にわたる行財政改革が行われたなかで、「改革による効果額」が算出されており、「改革の効果額」は「合計 1 兆 3,448 億円」、うち「一般財源」は「8,317 億円」*3となる。
効果額の内訳は、「歳出改革による効果額」が「1兆1,696億円」、「一般財源」では「7,627億円」、「歳入改革による効果額」が「1,752 億円」、「一般財源」は「690 億円」*4。「部門別」では「人件費」が「2,100 億円」、「一般財源」が「1,777億円、 「行政経費」は「2,471 億円」、「一般財源」が「3,025 億円」、「投資的経費」が「7,125 億円」、「一般財源」は「2,825 億円、「県税収入」は「405 億円」、「課税自主権の活用」では「1,062 億円」*5等と算出。「財政健全化の努力」*6の結果が公表された同取組。今後の取組は、要観察。

*1:兵庫県HP(県政情報・統計(県政情報)行財政・法規行財政構造改革行財政構造改革の取組み)「行財政構造改革の検証」(平成30年7月 兵庫県)1頁

*2:前掲注1・兵庫県(行財政構造改革の検証)1頁

*3:前掲注1・兵庫県(行財政構造改革の検証)7頁

*4:前掲注1・兵庫県(行財政構造改革の検証)7頁

*5:前掲注1・兵庫県(行財政構造改革の検証)7頁

*6:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『第3版 ホーンブック地方自治』(北樹出版、2014年)212頁

ホーンブック 地方自治[第3版]

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