杉並区が4月の区議選で「ボートマッチ」に挑戦 自治体主導は「全国初」 投票率アップへ区民が質問案を議論(東京新聞2023年2月14日)

 東京都杉並区が4月16日告示の区議選で、有権者が自分の考えに近い候補者を調べられる「ボートマッチ」の専用サイトを開設する準備を進めている。公募した区民らに質問案を作ってもらうことなどを通じ、区政への関心を高め、投票率アップにつなげるのが狙いだ。有識者は「メディアがあまり報道せず、情報が少ない地方選でこそ大事な取り組みだ」と評価するが、公平性の確保を巡る懸念や課題も残り、区議会内には「投票先を誤って誘導しかねない」との慎重論もある。(佐藤裕介)
◆20の質問項目に5択で回答
 ボートマッチは報道機関などが国政選挙に合わせて実施しているが、地方自治体が行えば「全国初とみられる」(総務省の担当者)という。
 専用サイトは告示翌日の4月17日の公開を目指す。あらかじめ立候補予定者に答えてもらった20の質問項目に「賛成」「やや賛成」「中立」「やや反対」「反対」の5択で回答すると、一致率が高い順に候補者名が表示される仕組みだ。重視する項目を三つまで選ぶと、一致率に強く反映させる機能の導入も検討している。
 区は質問項目を検討するため、1月に10〜70代の区民12人で構成する「投票率アップ企画委員会」を設置。7人は公募で、5人は区の選挙啓発事業などを手伝う「選挙サポーター」や「明るい選挙推進委員」などから選んだ。これまでに打ち合わせは4回を数え、事務局を務める区選挙管理委員会職員らと、時に3時間近くにわたって活発な議論を交わしている。
 近く質問案を固め、今月19日の立候補予定者説明会で提示し、各陣営に協力を依頼する段取りだ。メンバーの大学生の女性(20)は「自分の意見と合った人は誰なのかを見極めて、選挙を通じてみんなが暮らしやすい社会になったらいい」と話す。
投票率5ポイントアップが目標

投票率アップ企画委員会」で区議選立候補者への質問の内容を話し合う有権者

 区議選の投票率は2019年の前回、39.47%にとどまった。中でも20代は20.35%と低く、区選管の江川雅志事務局長は「若年層が判断材料の一つとしてボートマッチを活用し、区政への関心を持つことにつなげたい。投票率を全体で5ポイント上げるのが目標だ」と語る。実施にあたり、22年度予算の選挙啓発事業費から約100万円を支出する。
 ボートマッチに詳しい埼玉大の松本正生名誉教授(政治意識論)は「国政選に比べて、地方選は有権者の判断材料になる情報が不足しがち。自治体が自ら実施するのは画期的な試みで、成功すれば杉並区から全国に広がっていく可能性がある」と評価。同時に、公募でもメンバーを決めるのは区側の裁量になることから「人選の第三者性をどう担保したのかについて、きちんと説明する必要がある」とも指摘する。
◆選挙の中立性確保に慎重論も
 候補者と同じ質問に答え、投票先を探るという仕組みの限界もある。重視する項目を選べるとしても、選択肢は決められた20問しかなく、人それぞれで異なる関心に十分に対応できるとは限らない。
 実施には立候補予定者の協力が不可欠だが、民間でなく自治体の事業のため、区議会には選挙の中立性を損ないかねないと危惧する声もある。

本記事では、杉並区における選挙啓発の取組を紹介。

同区では、2023年「4月23日」に執行予定の「杉並区議会議員選挙」で、「主に若年層への啓発」を目的に、「多数の立候補者の中から自分の考えに近い立候補者を選択する一つの手段」として「投票への一助」となることが期待される「投票マッチング(ボートマッチ)事業」*1を実施。同「区議会議員選挙投票マッチング」は、同「区議会議員選挙の特設ページ」にて、2023年「4月17日」と「告示日の翌日」から「利用」*2かが可能となる。

投票率*3の状況は要観察。