■ふるさと納税で子どもの居場所 立川市、クラファン型で支援 返礼品なし 過熱競争に一石(東京新聞2023年12月5日)
東京都新宿区歌舞伎町の通称「トー横」に集まる子どもたちが社会問題となる中、立川市は、若者の安全な居場所づくりに取り組む市内のNPO法人を支援するため、ふるさと納税を利用した寄付を呼びかけている。目標金額を定めて寄付を募るクラウドファンディング型で、返礼品は設けていない。社会問題の解決につながる新たな寄付の形をつくることで、返礼品競争に過熱化するふるさと納税の在り方に問い直す狙いもある。(岡本太)厳しい寒さに見舞われた11月下旬の土曜日夕方。JR立川駅前から徒歩で15分ほどの場所にあるビルのフロアで、10代や20代の若者たちが勉強をしたり、ゲームをしたりと穏やかな時間を過ごしていた。同市のNPO法人「育て上げネット」が昨年5月から開いている「夜のユースセンター」。家庭内の人間関係や虐待の恐れから、家に居づらい若者たちを受け入れている。予算の都合で現在は週1回のオープン。それでも利用者は昨年5月から1年間で延べ約千人を超えた。市はこの取り組みを11月、市のふるさと納税のリストに追加。まずは子どもたちに提供する弁当代やスタッフの人件費など年間の運営費約300万円を目標に寄付を募っている。市は、直接補助金を出して支援する手法もある中、今回はふるさと納税制度の活用を決めた。同制度では自治体間の返礼品競争が過熱。納税者の多い都市部では、入ってくる税より出ていく税の方が多いために減収となり、財政に大きな影響を与えている。制度の普及に伴い、その額は年々増加。立川市では昨年、7億円の税収が消えた。酒井大史市長は「こうした状況を変えたい」と強調。「返礼品の肉もカニもないが、皆さんの奉仕によって救われる子どもの命、希望がある。(地域や取り組みを応援するという)制度本来の意義で、全国の皆さんに寄付を呼びかけていきたい」としている。
本記事では、立川市における子どもの居場所づくりの取組を紹介。
同市では、「ふるさと納税制度」を「寄附金の使い道を明確にして寄附を募集する」取組の一環として、「家や学校に安全・安心を感じられない若者のための第3の居場所」の「運営」*1のために同制度を活用。「寄附受付期間」は、2023年「11月10日」から同年「12月31日」ままでの「52日間」、「目標金額」は「3,000,000円」*2としている。
「来たいときには来て、来たくなければ来ない」*3ような居場所の状況は、要観察。
*1:立川市HP( 市政情報 : 政策・計画 : ふるさと納税(寄附金))「ふるさと納税制度を活用して行うガバメントクラウドファンディングを実施します」
*2:前掲注1・立川市( ふるさと納税制度を活用して行うガバメントクラウドファンディングを実施します)
*3:藤原辰史『縁食論』(ミシマ社、2020年)22頁