ニーズある空き家を見逃すな 佐世保市とゼンリン 全国初「推定ツール」共同開発へ 長崎(長崎新聞2024年4月15日) 

 長崎県佐世保市と地図情報大手のゼンリンは本年度、空き家の初期段階から察知できる「空き家推定ツール」を全国で初めて共同開発する。双方が情報として持つ空き家の“サイン”をデータ上で突き合わせることで高い確度で把握できるようになる。老朽化前にいち早く見つけることで、不動産市場などでの流通を進めたい考えだ。
 「ツールは“なりたて空き家”が分かるのが一番のメリット。活用可能な段階で察知できれば、市場流通を促すことができ、空き家の増加を抑制することにつながる」。市建築指導課の担当者は話す。
 空き家は大きく「予備軍」「健全空き家」「危険な空き家」に分けることができる。市内でも空き家が増加傾向にある中、市は周囲への影響が著しい危険な空き家と判断した場合、所有者に適切な管理を促すことにしている。いざ解体するとなった場合の費用は、斜面地で車が入りにくい場所などは数百万円かかるケースもあり、二の足を踏む所有者も少なくない。空き家が増える要因の一つになっている。
 ツールは、こうした危険な空き家になる前の段階の物件を迅速、継続的に見つけるために共同開発する。空き家調査の効率的な手法が確立されていない中、包括連携協定を結んでいる市と同社は2022、23年度の2年間、具体的にどういう条件であれば空き家としてカウントできるかを現地調査を交えて研究してきた。
 本年度は、同社がこれまで蓄積してきた地図データのノウハウや業務で把握した空き家の位置情報と、市が持つ水道閉栓情報や町内会などから得られた空き家情報を組み合わせ、地図データ上に実際に落とし込んで試作版を完成させる。
 運用は来年度から始める予定。市は、ニーズがあると見込まれる空き家については所有者の同意を得た上で民間事業者に情報提供し、流通促進を図りたい考えだ。同課は「具体的なスキームは、同意の取得方法などを含めて民間事業者の意見を踏まえながら、より効果的なものになるよう検討したい」とする。
 ゼンリンは「市の地域課題解決に一緒に取り組み、貢献することで地域の活性化や市民サービスの向上に寄与できれば」としている。

本記事では、佐世保市における空き家の対策の取組を紹介。

同市では、同社との「連携協定に基づく共同研究」で「空き家推定ツール」「を構築」し、「空き家を適宜把握することで、老朽危険化する前に市場流通させるなど、「空き
家を作らない取り組み」」*1を実施する方針。

「放置」*2の把握状況は要観察。