地方自治体が出資などで関与している第三セクターや公社などの経営悪化が自治体財政に影響するのを回避するため、県住宅供給公社の廃止(福島)など2008年度に抜本改革に踏み切る動きが全国で広がっていることが16日、共同通信都道府県アンケートで分かった。
 三セクなどが抱える赤字や負債を含めた連結ベースで自治体の財政状況を判定する自治体財政健全化法が08年度決算から適用されるため、不採算事業の整理を急ぐ狙いがある。都道府県が出資する三セクや公社については、既に07年度までに長野、静岡、高知などが独自の改革案に沿って複数の法人を廃止したか、廃止を決定している。08年度内の廃止を明言したのは、福島のほか県畜産振興公社など2公社を廃止するとした山形や、県住宅供給公社を09年3月で廃止するとした富山など。愛媛は「09年度までに廃止、統合などを図る」と見直し期限を設定。その他の自治体にも「経営改善に取り組む」とする回答が多かった。

同記事では,2008年度からの自治体財政健全化法の適用を見通し,全国的に住宅公社の廃止動向があることを紹介.
公社については,以前は,一般行政組織からのある程度の独立性がありながらも,一般行政との関係を前提に設立された組織(「境界領域組織」*1)とされ,政府の公式目標・非公式目標の実現に寄与してきたと評されることもあった.そのため,公社という行政手法についても,より統制を少なくし,自立性を高め,これらの目的の継続的実現を期待する向きもあった.しかしながら,実際には,既にその時代は遠く過ぎ去り,統制の希釈化よりも当該手法自体を解消する統制自体が気化する傾向にあるよう.「最大動員」*2の時代の長い終わりに入ったのか,または,新たな市場的手法を中心とした行政目標の実現の時代となったのか,要観察.

*1:松並潤「国家と社会の境界領域の諸問題」西尾勝村松岐夫編『講座行政学第5巻』(有斐閣,1994年)110〜111頁

業務の執行 (講座 行政学)

業務の執行 (講座 行政学)

*2:村松岐夫『日本の行政』(中央公論社,1994年)94頁

日本の行政―活動型官僚制の変貌 (中公新書)

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