大阪府摂津市は来年度の職員採用試験で一般教養を廃止し、政策提案のプレゼンテーション(企画発表)の試験を導入することを決めた。個性あふれ、熱意のある人材を確保するのが狙いで、配属先も発表内容を考慮して決定するという。小野吉孝副市長は「学力だけでなく、独創性とガッツのある人に来てもらいたい」と期待している。
 「やる気・元気・本気」採用との名称で、12人を募集する。1次試験で民間企業の利用実績が多い「能力・適性検査」を受けた後、2次以降で企画発表と個人面接、集団討論を行う。発表テーマは「摂津市職員になってやりたいこと」。表現方法は自由で、発表用資料作成ソフトを使ったり、特技を披露したりすることもできる。8月15日から市役所で募集要項を配布するほか、ホームページで掲載する。
 総務省は「自治体の課題や住民ニーズが多様化する中、望むべき人材を見つけてほしい」と取り組みを評価。市は「従来の公務員試験の対策が不要なので、民間企業を志望する人もぜひ受けてほしい」としている。

本記事では,摂津市における職員採用試験の取組を紹介.本記事で紹介されている同取組は,2012年度から開始されている「やる気・元気・本気!採用枠」の取組.2013年度分は未掲載のため,2012年度の募集案内を参照*1
同取組の目的は,次の通り.つまり,「時代の変化に常に対応し,何事にも問題意識を持ち,自らの意思で業務改善や施策提案を行うなど,意欲的に仕事を遂行する優秀な職員」を幅広く募集」することを企図している.そのためにも「公務員試験(一般教養試験)に替え」「総合能力検査やプレゼンテーション試験による人物重視の採用試験」*2を実施.
2012年度と2013年度の相違点は,募集数と二次試験にある模様.まず,募集数は,2012年度は事務,技術系 (土木)のそれぞれ「2名」を募集されていたものの,本記事によると「12名」を増加される様子.もう一つの二次試験は2012年度の募集案内では「集団面接など」*3とのみ記されてはいたものの,本記事によると2013年度は「政策提案」の「企画発表と個人面接,集団討論」とある.
企画発表の内容が,勘と経験と度胸,そして,発想によるものだけではなく,「制度や環境などについての厳格な分析によって」*4,確りとした「原因探求」*5を踏まえた提案となると,新規採用試験の枠を超えて実際の政策立案にも結びつきそう.同企画発表の内容が公開されると,更に興味深くなりそう.

*1:摂津市HP(各課&施設のページ市長公室・人事課職員採用)「摂津市職員募集案内「やる気・元気・本気!採用枠」」(平成24年9月)

*2:前掲注1・摂津市摂津市職員募集案内「やる気・元気・本気!採用枠」)1頁

*3:前掲注1・摂津市摂津市職員募集案内「やる気・元気・本気!採用枠」)3頁

*4:松田憲忠「計量分析と理論的考察」松田憲忠・竹田憲史『社会科学のための計量分析入門』(ミネルヴァ書房,2012年)225頁

社会科学のための計量分析入門―データから政策を考える

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*5:伊藤修一郎『政策リサーチ入門』(東京大学出版会,2011年)187頁

政策リサーチ入門―仮説検証による問題解決の技法

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