県行政機構審議会は22日、第6回会合を県庁で開き、県が来年度の本庁組織再編に続いて2009年度に予定している現地機関の再編について議論を始めた。今夏をめどに方向性をまとめ、村井知事に答申する。この日は一部委員から現地機関の早急な統合に慎重論も出た。次回(3月25日)までに県側が論点を整理することになった。
 県側は、財政難などから「組織のスリム化、効率化が欠かせない」と現地機関再編の必要性を説明。地事所の統合など各現地機関の管轄区域の見直しや、農業改良普及センターと農業関係の試験場の統合などを例示した。税関連事務の一元化など、県と市町村の事務共同化も挙げた。
 藤原忠彦委員(県町村会長)は「現地機関がなくなると地域の心理的動揺が懸念される。十分な調整が必要」と指摘。「現地機関を束ねるミニ県庁のような機関が地域にほしい」と述べた。鷲沢正一委員(県市長会長)は「県から市町村への権限移譲と言っても、市町村でやれることは限られている」とし、県内10圏域ごとに市町村で構成する広域連合と地方事務所を統合する−といった持論を展開。農業大学校や研究機関の民営化も検討を求めた。高橋精一委員(県職労委員長)は「県の都合で再編する姿勢が強調されすぎている」とした上で「住民サービス向上のための見直しをすべきだ。この審議会でどこまで検討するのかも整理する必要がある」とした。

同記事では、長野県の行政機構審議会において、地域「出先機関」再編について検討段階にあることを紹介。
地域「出先機関」の再編は、市町村合併次第で「1区域1自治体」のような現象が起きており、県としても取り組むべき課題となっている。地域「出先機関」再編の方式を整理してみると、次の6方式がある。まずは、地域「出先機関」の設置区域を持続するか、再編するかという判断の分岐点がある。次いで、区域の再編又は持続の決定後に、当該機関が持つ機能を本庁に引き上げるか、または、市町村に権限移譲を進めるか、はたまた、更に権限を移譲するかというものがある。権限移譲方式では、三重県などが有名。
個人的な関心からいえば、地域「出先機関」の再編とともに、都道府県から市町村への事務権限移譲をいかに取り扱うかに関心がある。ただ、地域「出先機関」の「減量」優先路線で議論(つまり、「出先機関」は整理統合するため、これらの機能は今後は市町村で担ってくださいという理屈)を進めていくと、あまりにも都道府県側の論理を市町村に要求することとなる。そのため、市町村側からの「同意」を得ることは難しくなる。岩手県のように、市町村合併→県内出先機関(圏域)の再編→地域「出先機関」が「先端機関」として市町村への支援機能の重視する論理が鮮明であれば、市町村からの「合意」も得られるのではないかとも思う。
ただし、長野県の場合は、広域連合の取り組みも進んでいるため*1、区域再編はともかく、県の地域「出先機関」の権限を、まずは広域連合に移譲を進めるという路線も考えられるのではないだろうか。
なお、同審議会では、本庁機構については、2007年11月2日に答申済み*2。同答申の内容に関しては、非常にモダンな機構編制とも読める。前知事のポストモダンな機構編制と現知事の機構編制の特徴について、戦後の知事選毎の道府県における機構改革を研究している知り合いの都道府県行政研究者に聞いて見ようと思う。

*1:小原隆治, 長野県地方自治研究センター『平成大合併と広域連合―長野県広域行政の実証分析』(公人社、2007年)

平成大合併と広域連合―長野県広域行政の実証分析

平成大合併と広域連合―長野県広域行政の実証分析

*2:県の行政機構のあり方のうち本庁部局の見直しについて(答申)