岡山市議会総務委員会(浦上雅彦委員長)で6日、政令市に移行する予定の09年度の機構改革と人員体制の素案が示された。2月25日に示された「検討素案(第1次)」を修正したもので、A区内にサテライトを設置する案が浮上。県からの派遣は、30〜40人程度となる見通しも明らかにされた。機構改革では、現在の支所を「地域自治センター」(仮称)とすることにしていたが、素案では「地域センター」(同)に変更。新市建設計画と新市基本計画推進のため土木・農林業務の執行機能も持つ御津、建部、瀬戸については「支所」(同)の名称を維持することにした。現在の支所は本庁の総合出先機関だが、新しい支所は区役所の出先機関となり、法的な問題はクリアされる。他の2〜5倍の面積を持つA区(同)には、現場対応に最も時間、距離を短縮できる適地にサテライト設置を検討。機構上の組織ではなく、A区役所の農業振興課、建設課、維持管理課の一部職員の勤務場所となる中継基地と位置付け、足守、高松、津高、一宮地区をカバーする。本庁組織には、安全・安心ネットワーク推進室に広聴統括機能、行政サービス改善のための解析機能を持たせる。市民からの要望に今まで以上に迅速に対応するため、同室に「スピード処理促進統括課長」(同)を置く。企画局では、政令指定都市推進課を廃止し、「大都市制度担当課長」を配置。市民局には、消費者契約をめぐるトラブルへの対応を強化するため、生活安全課内に「消費生活センター」を設ける。同案では20局8室185課体制となり、07年4月に政令市へ移行した浜松市に比べ31課少ないという。政令市移行後の人員体制は、5941人の見込み。県からの人的支援は、具体的に決まりつつあるという。国県道管理で20〜30人の見通しで、指導的役割を担う職員の派遣を要請。児童相談所では10人前後の見込み。  初めて示された区役所の人員配置は、A区447人、B―1区135人、B―2区205人、C区206人。 各局の配置を検討素案(第1次)と比べると、財政局が17人増、保健福祉局が15人増、市民局が14人増、企画局が2人増、安全・安心ネットワーク推進室と環境局が1人増。一方、下水道局は14人減、都市整備局は6人減、水道局は5人減、経済局は3人減、総務局と市場事業部は1人減。その他は増減がなかった。

同記事では、岡山市政令指定都市移行後の機構改革及び人事構成案が市会に提案されたことを紹介。他紙では、前日には、市長と知事が総務省を訪問し、岡山市政令指定都市移行の正式要望を提出し、その後、事務次官と「非公式」に会談を行ったことが紹介*1。内閣による政令指定という、いわば「本丸御殿」への登城の経路においては*2には決まり事が多々あるものの、同市の身支度もまた揃いつつあるよう。
岡山市の4区案では、A区が面積451.03平方キロメートル、人口295,312と他の区B−1(51.24平方キロメートル、138,949)、B−2(160.28平方キロメートル、96,718)、C(127.36平方キロメートル、 165,193)と比しても*3、面積・住民ともに大きい。そのため、A区内を、更に事務分掌の仕組みが必要ともいえる。そのため、行政効果(効率)の観点からか、同記事にもあるようにA区内に「サテライト」を置き、農業、建設、土木に関して同区内での地域分担を行う模様。
文脈及び制度上の位置づけは異なるが、先行移行政令指定都市である浜松市では、合併時の協定に盛り込まれ、政令指定都市移行時に設けられた地域協議会の廃止に関して、現在、市会で審議が進められている*4浜松市の今回の地域協議会の廃止案は、同市の行財政改革推進審議会が2008年3月に提出して中間答申にある本庁・行政区・地域自治センター・地域サービスセンターの役割分担見直しの提案*5を受けたもの。同市としては「区単位」でのまちづくりに力点を置くこととしているものの、同市内最大区である天竜区からは地域協議会の存続要望もある。制度は機能してみないと分からない部分もあるかとは思うものの、岡山市の「サテライト」もまた、今後の審議及び移行後も含めて、要経過観察。

*1:山陽新聞(2008年6月7日付)「岡山市の政令市移行 石井知事らが総務省に要望

*2:深井雅海『江戸城』(中央公論新社、2008年)12頁

江戸城―本丸御殿と幕府政治 (中公新書)

江戸城―本丸御殿と幕府政治 (中公新書)

*3:岡山市HP(政令指定都市移行に向けた取り組み:市議会で市域を4区に分ける方針を表明)「岡山市行政区画の状況

*4:静岡新聞(2008年6月6日付)「合併協定「見直しに例外ない」浜松市長、地域協再編を強調

*5:浜松市行財政改革推進審議会『浜松市行財政改革に関する中間答申書』(2008年3月30日)14頁