伊佐市は、予算編成作業の一部となる各課からの予算要求に対する財政課ヒアリング(聞き取り)の一般公開を始めた。厳しい財政環境の中、限られた財源の使い道について、市民に考えてもらうのが狙い。ヒアリングは3日まで、大口庁舎大会議室で行われる。
 ヒアリングは11月29日、菱刈庁舎から開始。担当課の事業説明に対し、寺師良一財政課長ら同課職員5人が、詳しい内容や事業の妥当性をただした。同30日あった建設課とのやり取りでは、老朽化が進む橋や市営住宅の大量改修時期が迫っていることが分かり、寺師課長が「早い時期に投資規模を判断できる資料がほしい」と求める一幕も。
 ただ、市はホームページ上などでヒアリングの公開を告知したものの、傍聴者はまだわずか。そのうちの一人、鵜木誠市議は「熱心な議論もあり真剣な様子が伝わる」と評価したうえで「声が聞き取れるマイクや分かりやすい説明資料が備えられていればもっといい」と注文を付けた。寺師課長は「多くの市民に見てもらうことで、職員にも説明能力や長期的に施策を組み立てる力が備わってくるはず」と期待する。

本記事では,伊佐市における予算ヒアリングの一般公開の取組を紹介.同取組に関しては,同市HPを参照*1
「次年度実施する事業の内容や必要な予算額」に関する「財政担当課が各担当課から説明」を「これまで」は「市役所内」で「行われてい」た「予算ヒアリング」*2.「市のお金の使い方を検討する過程を市民のみなさんにも知ってもら」う目的から「公開」にて実施.
「当初予算各課ヒアリング日程」*3を拝読させて頂くと,「11月29日(月)」は「議会本会議」「地域総務課」「農政課(市場含む)」「林務課」,「11月30日(火)」は「学校教育課教・総務課」「農業委員会事務局」「建設課(農集含む)」「伊佐北姶良環境管理組合」,「12月1日(水)」は「総務課」「税務課」「収納課」「議会」「企画調整課」「水道課」,「12月2日(木)」は「地域振興課」「市民課(国保・後高・老保含む)」「長寿支援課(介護・介サ含む)」「社会教育課(図書館含む)」「福祉事務所(富士簡水含む)」,そして,「12月3日(金)」には,「健康増進課」「文化スポーツ課」「財政課」「環境政策課」「火葬場管理組合」「監査」「給食センター」「会計課」「伊佐湧水消防組合」を対象に行われている(ヒアリングの対象の順番は,一般的にどのように配置されるものなのでしょうか,要確認).
「財政担当者」にとっては,「ヒアリングの成果」は「準備次第」とも解されており,「ヒアリング当日にはできるだけ制度変更や新規・拡充内容,コスト見直しの状況など,論点を絞り込んで行」*4い,加えて,「要求担当者のレクチャーの場にしないように」*5するためにも「その場をコントロールすることが必要」*6とも解されている.予算情報もまた,公表を通じて「「わかりやすく」することは専門用語空間における精度を失わせる」*7ことは内包しつつも,「コントロール」の対象となる要求部門,そして,伝える相手となる住民の双方に対して「なるべく誤解が少なくなるように写像(置き換え)」*8を両々相俟った方策は,難しそう.考えてみたい.

*1:伊佐市HP(行政財政)「平成23年度伊佐市関連予算ヒアリング公開

*2:前掲注1・伊佐市平成23年伊佐市関連予算ヒアリング公開)

*3:伊佐市HP(行政財政平成23年度伊佐市関連予算ヒアリング公開)「平成23年度 当初予算各課ヒアリング日程」

*4:松木茂弘『自治体財務の12か月』(学陽書房,2010年)191頁

自治体財務の12か月

自治体財務の12か月

*5:前掲注4・松木茂弘2010年:192頁

*6:前掲注4・松木茂弘2010年:192頁

*7:藤垣裕子「PUS理論」藤垣裕子・廣野喜幸編『科学コミュニケーション論』(東京大学出版会,2008年)100頁

科学コミュニケーション論

科学コミュニケーション論

*8:前掲注7・藤垣裕子2008年:101頁