嘉麻市が本年度に行う職員採用試験(一般事務職、土木職)に、前年度の13倍以上となる1200人の応募があった。筆記中心だった選考を、今回から面接など「人物本位」に改めた結果「予想以上」の効果を上げた。11日から試験が始まり、担当者は会場の確保に追われるなどうれしい悲鳴を上げている。
 同市人事秘書課によると応募総数の95%は一般事務職で1148人。採用人数は「若干名」としているため、かなりの狭き門となりそうだ。同市は2007年から3年間、全国統一の教養試験(筆記)を中心に職員を採用してきたが、受験者数(一般事務職)は162人、76人、71人と減少。このため本年度は1次試験に言語能力や職業適性などを審査する民間企業型の「適性検査」を導入した上で、2次試験以降の面接回数も増やす、人物本位の選考方法に改めた。
 これに合わせて「公務員試験対策は不要」とうたった職員応募のポスターも制作。過去の受験者はほとんどが筑豊地区からだったが、今回は52%が地区外からという。11日の1次試験は稲築志耕館高(同市岩崎)で実施。「200−300人を見込んでいた」(同課)という予想を大きく上回ったため、試験会場には当初予定の一般教室だけでなく、美術室や視聴覚室も使うことにした。土日を使って6日間程度を予定していた2次試験の日程も急きょ、2週間に拡大する方針。担当者は「応募者数の増加はもとより、幅が広がったのは喜ばしい事態。光る人材を採用したい」と話している。

本記事では,嘉麻市における職員採用試験への応募状況を紹介.「前年度の13倍以上」の応募であったとのこと.本記事にて紹介されているように,職員採用の試験制度を「事前の公務員試験対策を必要としない」「「笑顔」と「やる気」を重視した採用試験」*1へと変更された同市.まさに,現在広がりつつある「既存の採用試験制度にとらわれない」「人物本位で採用を行う」*2取組の一つ.同取組の詳細は,同市の「平成23年嘉麻市職員募集案内」を参照*3
「1次試験」では,「全職種」の受験者に対して,同「市職員の職務に求められる基礎的な能力を測定する」ことを目的とした,「2肢〜10肢選択」方式の「能力適性検査」が「224問」を「57分」で取り組む.その後,「職務行動に関連する性格的な特徴を測定」し「人物理解を深めるための資料」を把握するために,「2肢選択」方式の「性格適性検査」を「350問」を「約40分」で臨む.「2次試験」からは,職種毎にその内容が異なり,「一般事務」であれば「個別面接試験」,「土木職」であれば「個別面接試験」に加えて「専門試験」が実施される.「3次試験」では再び「全職種」への「個別面接試験」*4となる.
「そもそも面接試験は主観的な人物評価」*5とも解されるものの,折角,面接の場が重視されるのあれば,人物評価の場に止まらず,「プラスと考えられることだけでなく,マイナス面に関しても求職者に提供」することになる「Realistic Job Preview*6として,面接者側から受験者に自治体の仕事の現状や課題を提示しつつ,その仕事に取り組むことを考えてもらう場としても活用されることになると興味深そう.面接者側のスタイルやその運営方法も変更されることになるのだろうか.要確認.

*1:嘉麻市HP(行政情報募集)「平成23年度嘉麻市職員採用試験について

*2:稲継裕昭『地方自治入門』(有斐閣,2011年)92頁

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

*3:嘉麻市HP(行政情報募集平成23年度嘉麻市職員採用試験について)「平成23年度 嘉麻市職員募集案内

*4:前掲注3・嘉麻市平成23年嘉麻市職員募集案内)3頁

*5:大原瞠『公務員試験のカラクリ』(光文社,2011年)165頁

公務員試験のカラクリ (光文社新書)

公務員試験のカラクリ (光文社新書)

*6:今野浩一郎, 佐藤博樹『マネジメント・テキスト 人事管理入門<第2版>』(日本経済新聞出版社,2009年)84頁

マネジメント・テキスト 人事管理入門<第2版>

マネジメント・テキスト 人事管理入門<第2版>