インターネット掲示板に書き込まれた悪口をきっかけとした子ども同士のトラブルやいじめを防ごうと、県教委は二〇一三年度から、掲示板などをパトロールする専門職員を置く。当初予算案に、関連費用約二百万円を盛り込む。
 県教委が昨年十一〜十二月、県内の小学五年生〜高校三年生の四万二千人余を対象に行った調査によると、ネットに接続可能で自分も使えるパソコンが自宅にあると答えたのは、小学五、六年生が70%超。中高校生はいずれも85%弱に上った。高校生のうち40%超は、ネット掲示板に書き込みをしたことがあった。
 ネット絡みのトラブルも相次ぎ、小学五、六年生は全体の1・8%、高校生は8・6%が、悪口を掲示板に書かれるなどネット絡みで嫌な思いをした経験があると答えた。学校の指導でトラブルは減少傾向にあるが、県教委は専門職員を置いてチェック強化に取り組むことにした。専門職員一人は公募する。学校名や地名などで検索して、子どもが利用する掲示板を探し、悪質な書き込みを見つけた場合は学校側に連絡する。児童生徒の日記風サイト「ブログ」も閲覧し、付きまといを防ぐため、開設者が必要以上に自分の個人情報を載せていないか調べる。県教委教育研修課の担当者は「学校側と連携して、ネットのトラブルから子どもを守りたい」と話している。

本記事では,岐阜県における職員公募の取組を紹介.
同取組は,同県教育委員会が2013年度予算案として要求する「学校教育ネット安全・安心推進事業費」*1に基づくもの.同事業では二つの目的と事業を想定する.まずは,同「県内の小中学校,高等学校及び特別支援学校の児童生徒」が「安全に安心してインターネットを利用することができる環境を整える」ことを目的に「児童生徒が主に利用するサイト等のパトロールを行」うこと.もうひとつは,同「県内の県立高等学校の生徒」が「安全に安心して通学したり,学校生活を送ったりできる」ために「各学校から保護者や生徒」へ「緊急情報や不審者情報や学校情報等を一斉配信するメール配信サービスを業者委託」*2するもの. 前者は2,011千円,後者は2,646 千円を計上.本記事では,前者を紹介.
同事業への「事業評価調書」では,「目標の達成度を示す指標と実績」には「年間パトロール率」を指標として設定.指標の算出方法は,「調査日数/365日×100」とする.そして,2013年度の「目標」は「100%」*3と置いている.そのため,365日毎日のパトロールを実施を想定されている模様.本記事では,「パトロールする専門職員」は「一人」を「公募」すると報道されている.そうすると,お一人の公募職員が,毎日パトロールを実施される,ということなのだろうか.要確認.
実効性を高めるには「人海戦術*4は必要となる.とはいえ,人海戦術にはコストもかかる.更には,増員分への「監視と統制」の「コスト」の「二次的ジレンマ」*5も生じてくる.いざ,対応しようと考えてみると,実効性の確保は悩ましい課題.

*1:岐阜県HP(県政の運営財政・予算・決算予算)「教育委員会(25要求)

*2:岐阜県HP(県政の運営財政・予算・決算予算)「教育委員会(25要求)「予算要求資料」

*3:岐阜県HP(県政の運営財政・予算・決算予算)「教育委員会(25要求)「事業評価調書」

*4:北村喜宣『行政法の実効性確保』(有斐閣,2008年),33頁

行政法の実効性確保 (上智大学法学叢書)

行政法の実効性確保 (上智大学法学叢書)

*5:山岸俊男社会的ジレンマ』(PHP出版,2000年)98頁

社会的ジレンマ―「環境破壊」から「いじめ」まで (PHP新書)

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