千葉市は14日、ごみの分別や排出ルールを徹底するため、分別に協力しない事業者や市民に罰則を科す方針を示した。指導制度の創設について「市廃棄物減量等推進審議会」に諮問した。自治体がごみの不分別に対して過料などの罰則を設けるのは、群馬県富岡市横浜市に次いで全国3例目。
 市環境局によると、制度案では、市民の通報で市職員がごみを調査し、排出ルールを守らない人に指導、勧告、改善命令などを出し、それでも違反した場合は過料2000円の罰則を適用する。制度案は今年9月の市議会に提案し、可決されれば11年4月から罰則適用が始まる予定。【斎藤有香】

本記事では,千葉市におけるごみ分別に向けた実効性確保の制度に関する検討を開始したことを紹介.過料を設けることを検討される模様.本記事にもある同市に設置された「千葉市廃棄物減量等推進審議会」*1において,2010年1月14日に開催された第2回会議で諮問された模様.現在のところ,諮問内容の詳細,資料等は把握できないものの,同会「会議の開催について(お知らせ)」を拝見すると,諮問事項名は「ごみ分別・排出ルールを守らない者に対する指導制度」*2であることが分かる.
本記事で紹介された横浜市では,2009年10月20日付の本備忘録でも取り上げた2009年10月9日付の神奈川新聞にもあるように,同日に「全国初」の過料の「適用」*3が報道.一方,同記事内では,本記事でも紹介された,同じく過料を設けている富岡市における「担当者」への聞取結果として「故意にごみの分別ルールを守らないといった悪質な例がない上,違犯者を特定するのが難しい.いまのところ抑止力としての過料規定はあっても,適用する考えはない」との所見も紹介されており,過料の執行をめぐる認識と実際が分かり,興味深い.
ただ,「過料は,賦課できる金額が一般的に低いこと,前科にならないこと,滞納処分の例による強制徴収が可能であるものの実効性が欠けている」ことから「違反行為の抑止力に欠ける傾向がある」*4との見解も示されることが多い模様.鈴木潔先生は,「その抑止力を高めるため」の「法整備」としての観点からは,「過料の上限額の引き上げ」や「強制徴収が機能しない場合における過料徴収の担保手段として」「例えば,指名等の公表や行政サービス供給の制限等の措置を講ずることがかのうかどうか検討する必要がある」*5との提案をなされている.恐らく,過料に限らず「行政手法の組合せ」*6も含めた審議が進められるかが制度設計上の寛容なのだろうか.同紙の今後の審議状況は,要経過観察.

*1:千葉市HP(環境局環境管理部環境総務課市政情報室公開される会議(21年度))「千葉市廃棄物減量等推進審議会

*2:千葉市HP(総務局総務部総務課市政情報室公開される会議(21年度))「様式第2号会議の開催について(お知らせ)

*3:神奈川新聞(2009年10月9日付)「全国初、ごみ分別違犯で過料/横浜市

*4:鈴木潔『強制する法務・争う法務』(第一法規,2009年)95頁

行政上の義務履行確保と訴訟法務「強制する法務・争う法務」

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*5:前掲注4・鈴木潔2009年:96頁

*6:鈴木庸夫監修・山本博史『行政手法ガイドブック』(第一法規,2008年)105頁

行政手法ガイドブック―政策法務のツールを学ぼう (自治体法務サポート ブックレット・シリーズ)

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